シナリオライターが語る映画論!近未来を描いた超監視社会『ザ・サークル』

どーも、RACCOGARDENのグラです。
あなたは、フェイスブックやツイッターを
普段から活用していますか?
僕は、ブログを始めるにあたって
少しずつ本格的に手を出しましたが、
あまり得意ではないです。


今回は、そんなSNSの問題を近未来的に描いた作品である
ザ・サークル』という作品を紹介します。
元々は、『サークル』という違うホラー要素の強い作品を
探していたのですが、見つからなかったので、
名前も似てるし見てみようと思ってレンタルしました。
では、どのような内容なのか詳しく紹介していきましょう。

『ザ・サークル』ってどんな映画

『ザ・サークル』は、2017年の
ジェームズ・ポンソルト監督の作品です。
主演は、ハリーポッターシリーズで
有名なハーマイオニー役のエマ・ワトソン
そして、他にもトムハンクスなんかも出ている
豪華俳優陣が魅力の作品です。


内容は、派遣社員でお金に困っている主人公の
メイがある日大企業に勤める友人の勧めで
超巨大SNS企業に面接を受けに行き、合格します。
そこでは、世界の透明化を図り、みんなで繋がり、
みんなでシェアすることを目的にSNSを使った
多くの取り組みをしていました。
メイは、今までにないやりがいのある仕事に大満足。
そして、次第に自分もその企業の取り組みに貢献するために、
自らにカメラを付けてお風呂とトイレ以外
すべてを公開するようになります。


しかし、そうすることで、今まで仲の良かった友人や
家族とも疎遠になり、ドンドン悪い方向に
そして、メイは透明化した自分の生活に
耐えることはできるのか?
全てを透明化することが良いことなのかを
考えていく物語です。

『ザ・サークル』のネタバレなしの感想

ざっくりとあらすじを紹介しましたが、
ネタバレをせずに見たい人もいることでしょう。
なので、まずはネタバレなしでの

感想を紹介していきます。
そのうえで後半では、ネタバレも含んだ

豪華な俳優と女優が目白押しのぱっと見当たり映画

ザ・サークルでは、主演がエマ・ワトソン。
メインキャラクターの会社の社長に
トム・ハンクスと役者自体はかなり豪華です。

実際内容的には、つまらなくはないですが、
僕は正直楽しめませんでした。
というのも、そもそもSNSに疎いという点と
みんながみんな同調圧力というか
繋がっていなければならないような
押し付け感がたまらなく不快でした。


なので、この映画は、かなり人によって
納得する人もいれば僕のように拒否感しか
出ないという人もいると思います。
俳優を人気で有名な人にするのは、
宣伝効果もあるし、効果的です。
しかし、だからと言って成功するわけではありません。
そんなんだったら洋画は、トム・クルーズや
ジョニー・デップを使ってりゃいいって話になります。
そして、主役のエマ・ワトソンがめっちゃきれいなのですが、
正直今回の配役には合っていない気がしました。

エマ・ワトソンは、どうしても
ハーマイオニーの印象があるため賢く、
それでいて美人なイメージのキャラクターです。
しかし、今回の役のメイは、さえない派遣社員で
そこから透明化な社会に感化されて変わっていきます。
なので、もっと地味目な人が主役を張るのが
妥当なのかもと感じました。

エマ・ワトソンが悪いわけではないですが、
なんだかずっと違和感がある感じです。
吹き替えだと声もハーマイオニーじゃないし、
それも一つの要因なのかもしれないですね。

SNSを活用している人ほど見てほしい作品

『ザ・サークル』では、SNSのさらに発展させた
Cチェンジという小型カメラで生活を
常に配信する描写があります。
どこにいようが誰かが見ていて、
最終的には犯罪者もものの数分で
見つけて逮捕していました。
もちろん、監視できるようになることで
いいこともあるでしょう。


犯人の逮捕や、透明化も大事なことではあります。
ですが、その前提としてプライバシーの問題がしっかりと
確保されていなくてはなりません。
ザ・サークルでは過度な技術の発達により、
便利でお互いに住みやすい社会を作ろうとした結果
重大な問題に気づいています。


そして、この作中の問題は、今の世界でも起きつつあります。
日本でも不倫問題が過剰に取りざたされたり、
ちょっとした失言で住所まで暴かれたりする事案も出ています。
気軽にお互いが繋がれる反面プライバシーは、
どんどんなくなっています。

この辺の匙加減が難しく、今後の課題になると思います。
そして、その問題が、実際に映画を通してわかるので、
SNSにハマっている人ほど
見てほしい作品です。

シナリオライターとしてみた『ザ・サークル』

ここまでは、ネタバレを含まない程度に
『ザ・サークル』の魅力について紹介してきました。
では、ここからはシナリオライターの観点からも含めて
ネタバレありで紹介していきます。
もし、ネタバレをせずに見たいと思う方は、
ここからは見ないことをお勧めします。

個人的には、かなり好きになれない作品

僕は、集団行動が苦手です。
どれくらい苦手かというと、
学生時代に集団行動の授業があって
不快すぎてトイレにかけこんで吐いたことがあります。
また、大勢で食事や飲み会に行くのも大嫌いです。
少数だったら問題ないんですが、8人以上で
特に仲良くない人とかだと余計無理になります。


この映画では、そんな集団行動の
同調圧力が見て取れます。

作中でみんなで楽しくランチ。
皆で同じ活動をして、その写真をみんなにシェア。
そのうえ、コメントをもらって
みんな繋がっててハッピー。
寒気がしました。
なんならホラー映画よりよっぽど怖い。
気の合う仲間と遊ぶのは、
楽しいし別にいいことだと思います。
でも、それを他人に見せて何なのと僕は考えます。


いいところだなと思うからシェアするのはアリですが、
いいねをもらいたいからシェアする感覚がわかりません。

しかも、自分の作品でもないただの写真に。
皆がやっているから自分も参加しなくちゃダメとか
私たちがついている、みんな一緒みたいな言葉は
へどが出ます。
集団行動で一番苦手なのは、
おそらく自己決定権が弱まることなのでしょう。


作中で、メイはなぜ週末のイベントに
参加しなかったのか問われるシーンがあります。

皆参加してるんだから、顔を出さなくちゃや、
もっと集まりに参加しろとか知ったことではありません。
自分は自分。
やりたいことをやりたいときにやる。
もちろん迷惑はかけない範囲です。
その行動の制限が奪われる感覚が
この映画には盛りだくさんです。


この記事を読んで共感する人もいれば
全くしない人もいるでしょう。
僕は、サラリーマンが全く向いていないのが、
自分でもよく理解しています。
どっちの意見が正しいというのもなく、
どちらもそれでいいのに
それを良しとしない感じに僕は吐き気がするのでしょう。

作られたおしゃれさに違和感を覚える

ザ・サークルは、大手企業の
SNS会社を舞台にしていることもあって、
皆がおしゃれで、きらきらしているような感じに移ります。
そして、画面の見せ方なんかもおしゃれですが、
なんとなく違和感が感じられます。

おそらく監督は、その辺もあえてなのかもしれません。


作中でもプライベートを透明化して
全てを見せるようにしているので、
ザ・サークルに出てくるキャラクターは、
全て作られたある意味、演出した日常を演じています。
つまり、素をふるまっているような
演技している人を演技しているわけです。
ちょっとわかりにくいですね。


最近ユーチューブなんかでもルーティーン動画なんかが
流行ったりもしていましたよね。
しかし、あれも基本本物ではありません。
編集してきれいに見せています。
でも実際は、もっとだらしないところもあるし、
人に見られたくない部分もあるはずです。
そんな出さないけれど、視聴者を意識した
見栄が見え隠れしている部分が
この映画にも多く見られます。


常に多くの人に見られると、
自分が自分ではなくなるのでしょう。
素ではなく、加工した理想の自分を
作り出さなくてはならないからです。

それが楽しい人も中にはいると思います。
しかし、ずっとは続かないし、
何よりその監視体制のようなものが
不適切な気がします。
ザ・サークルは、そんな今のSNSにおける
矛盾を指摘する作品です。

今後十分にあり得る世界線の現代的ホラー映画

Woman using cellphone on bed at night

僕的に、このザ・サークルという映画は、
ホラー映画のように感じました。

人間の正義感が行くところまでいった怖さ、
透明化しすぎることによって
本物じゃなくなってしまう怖さが描かれています。

人間は、完璧ではありません。


もちろん不正や隠ぺいは暴かれるものであり、
やること自体間違ってはいると思います。
でも、今の世の中コロナにかかったら
そいつを特定して炎上したり
他県のナンバーの車を見つけたら傷つけたりと
正義を振りかざしたモンスターがうようよいます。
人間は、集まって集団化すると豹変します。

大勢だと自己決定権がない分、
一つの意思に縋り付いて
行き過ぎた行動に出るのでしょう。


責任の分散化ともいえるかもしれません。
最高に面白い作品ではないですが、
テーマとして考えるべき作品であり、
一度は見とくと良いかもしれません。

ラストも監視社会として
最悪な方向に向かっているのか、
それとも上手く人間が機能を使いこなして
いい世の中になったのか
想像に任せるというところも奇妙でホラーでした。

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