どーも、RACCOGARDENのグラです。
今回は、僕が邦画の中でも
1番好きな作品を紹介します。
その作品が中村義洋監督の『ゴールデンスランバー』
元は井坂幸太郎の小説の実写映画で、
サスペンスというか陰謀論的な内容です。
小説が元の作品って外れも多いんですけど、
ゴールデンスランバーは映画からでも
小説からでも楽しめる良作なので
詳しく紹介していこうと思います。
『ゴールデンスランバー』ってどんな映画
ゴールデンスランバーは、
2010年の中村義洋監督による作品です。
主人公の青柳は、大学時代の級友に釣りに誘われます。
「お前、オズワルドにされるぞ」
級友は、青柳にケネディ大統領を暗殺した
オズワルドにされると唐突に言い放ちます。
意味がわからないでいると、
いきなり、近くでやっていた新しい首相のパレード中で
飛んできたラジコンヘリと爆弾がボン!
あたりは、大惨事になります。
そして、いきなり警察に犯人とされて、
追われる身になります。
次々と現れる証拠映像、追い詰められる青柳。
果たして本当の犯人は誰なのか?
一般市民が大きな勢力に翻弄される姿を描いた
ミステリー作品です。
『ゴールデンスランバー』のネタバレなしの感想

井坂幸太郎作品は、伏線に次ぐ伏線で
ネタバレしない方がより楽しめます。
なので、ここからはまずネタバレ無しでの魅力や
面白い部分について紹介していきたいと思います。
後半には、多少のネタバレも含んだ紹介もあるので、
すでに知っているかネタバレしてもいいよという方のみ
ご覧ください。
キャラクターの個性と掛け合いの巧みさが最高
ゴールデンスランバーでは、
様々なキャラクターが登場します。
また、映画版では豪華俳優陣がたくさん出ていて、
主人公の青柳役は半沢直樹でおなじみの堺雅人。
刑事役に香川照之、他にも竹内結子や劇団ひとり、
濱田岳など演技力抜群のキャストが
個性あるキャラを演じているので
それだけで大当たり作品です。
伊坂幸太郎作品は、どこかドライな淡々と進む物語の中に
キャラクターの会話の中でクスッと来るような言い回しや
会話が多いのも魅力です。
そこらへんの伊坂幸太郎作品の良さが映画にも出ているので
ミステリー系があんまり得意ではない人でも楽しめます。
とにかく序盤からハイスピードで物語が進み、
どうなっていくのか先の読めない展開に
見入ることは間違いないでしょう。
緊迫するシーンはかなり緊迫し、ほっこりしたり、
くすっとできるシーンは和やかに描くという
緩急が上手いので、最後まで飽きない作品です。
キャラクター一人一人が個性的でユーモアのある人物なので、
どのシーンを見ても目を引くポイントがあります。
個人的には、指名手配中の殺人鬼を演じる浜田岳の演技が
かなり良く、殺人鬼のなのにかわいげがあって、こどもっぽい
部分がめちゃくちゃ好きです。
音楽と演出が素晴らしい
タイトルでもある「ゴールデンスランバー」は、
かの有名なビートルズの楽曲である
「ゴールデンスランバー」から来ています。
実際に作中でも「ゴールデンスランバー」が話題に出たり、
物語の重要な場面で流れたりもします。
そこらへんの演出や音楽の使い方もうまく、
映画だからこそできるという点でも
ある意味小説を超えている部分でしょう。
原作もめちゃくちゃ面白いですが、
映画だからこそ音楽が合わさって良いということと、
作品の見せ方や作り方が丁寧なのが魅力です。
シナリオを作る時に、視聴者にどの順番の展開で見せるのかは、
トランプの七並べに似ています。
そして、このゴールデンスランバーでは、
その七並べが完璧な配置で行われているような
小気味よさがあってもう一度見直したくなる作品でもあります。
シナリオライターとしてみた『ゴールデンスランバー』

ここまでは、ネタバレなしでのゴールデンスランバーについて
紹介してきました。
ここまでは、がっつりファン目線でのレビューになります。
では、次はシナリオライターとしても見ていきましょう。
個人的にゴールデンスランバーは、神作だと思っているので
絶賛でしかないですが、ぜひ見てください。
まさに理想の完成系であり憧れ

仕事をしているとこの人のこんな技を盗みたいとか、
こんな風に自分もやってみたいという憧れ的な
存在に出会う人も多いと思います。
僕の場合は、シナリオライターなので、
小説家や漫画家、芸人なんかに
あこがれを抱くことが多くあります。
小説なら伊坂幸太郎。
漫画家ならたくさんいますが、特に荒木飛呂彦。
芸人ならバカリズムなど人によって、
憧れる存在も全く違うと思います。
ゴールデンスランバーは、そんな作品として僕の中では
揺るがない作品であり、構成、キャラクター、設定など
全てがばっちりハマった完成系の作品です。

物語自体はミステリーなので、一見暗くなりがちですが、
そんなこともなくクスッとできる場面があったかと思えば
震えるような展開に鳥肌が立つシーンもあります。
僕は邦画は、正直あんまり好きになれる作品はありません。
基本的にしょぼい内容の者も多いですし、
イケメン俳優やアイドルを使って、
ただそのファンにこびているような
裏側が透けて見えてきてしまうのもあるからです。
もちろん、アイドルなんかでも
すげーと思う演技力を持つ人もいますが、
『なんでもかんでもそいつ使ってれば売れると思ってんなよ』
と反発したくなってしまいます。
ゴールデンスランバーの場合、そういう裏側が見えず、
ただ物語に没頭できるパワーを持っています。
また海外じゃなく、日本だからこその規模と
世界観などが非常にマッチしていて、
全体が絶妙なバランスで完成されているのが
惹かれる部分だと思っています。
無駄がなく、全てが伏線として機能している

伊坂幸太郎作品は、読んだことのある人ならば
わかると思いますが、基本的に最後の最後で
あっと驚くような展開や伏線回収が
仕掛けられていることが多いです。
「アヒルと鴨のコインロッカー」、「グラスホッパー」しかり、
今回の「ゴールデンスランバー」も
伏線が様々な場所に仕組まれています。
伏線というのは、読者に伏線として
気づかせない程度に見せておいて、
最終的に伏線だと思わせるべきものだと思っています。
読者に「これ、伏線じゃね?」と思われた時点で、
若干失敗しているのですが、今は考察する人も多いですし、
漫画なんかだと、あからさまな伏線も多いですよね。
そんな中でゴールデンスランバーは、
伏線だったんだと思うシーンが
いくつもあります。
一度全部見たうえで、もう一度見ると
『ここってこういう意味ね!』とか
『最初のシーンはこれのつながりか!!』など
ハッとする場面もあるのが魅力です。
特にラストの伏線は、めちゃくちゃかっこよく、
難解なパズルが全て収まった感覚のような
気持ちになれます。
小説と映画の程よい違い

映画には、尺という時間上の縛りがあります。
どんなに長くても3時間程度しか映画はできません。
それ以上は集中力も途切れてしまうからです。
そのため、小説やアニメの実写化作品の中には、
重要なシーンをバッサリカットして
つじつまを合わせることも良くあります。
邦画だと漫画の実写版なんかも多いですが、
このばっさりカットすることでファンにとっては物足りず、
初見の人は意味が分からないという
最悪のパターンに陥ります。
後、漫画だとただのコスプレ祭りみたいになるのが
痛いですよね。
ゴールデンスランバーでも小説が元なので、
映画として成立するために
泣く泣くカットしてある部分はあります。
ですが、映画は映画として完成されており、
小説版とまた違った良さを与えている
良改編作になっています。

元々のファンも大事にしつつ、
新規の視聴者も置いて行かない
親切さと割り切り感にやさしさと
尊敬すら感じさせられます。
シナリオライターは、物語のキャラクターには
非常にならなくてはなりません。
ですが、読者には優しくなければ伝わりません。
時には、視聴者を置き去りにして
興味を持たせることも重要です。
でも面白いと思ってもらうために書くものです。
自分一人だけがわかってればいいというような作品は、
お金を取る資格はないと思っています。
そういう点でもゴールデンスランバーは
良くできているので、おすすめです。
個人的邦画ナンバー1!一度は見る価値あり

僕は、今までたくさんの映画を見ていますが、
邦画の中ではゴールデンスランバーが
一番好きな作品です。
大きな謎の力に振り回される悲しい男の
必死に逃げ回るさまが興奮と感動を呼びます。
準備もなく一人で逃げ回って、最後はどうなるのか
真犯人は誰なのか?
その結末は、ぜひあなたの目でご確認ください。