
はじめまして、RACCOGARDENのグラです。
あなたは、映画をよく見ますか?
映画は、2時間で主人公の人生を追体験できる最高のエンターテイメントです。
そんな素晴らしい映画を今回は、シナリオライターをやっている僕がプロの目線と個人的な感想も含めてお勧めしていきます。
そんなわけで今回紹介する映画は、『テラビシアにかける橋』
今まで千作以上見てきた中でも特に好きな作品です。
仮に好きな映画ベスト5を作るとしても、そのうちの1本には入ります。
まだ見たことない人も、すでに見たことある人にも楽しめるように紹介していきます。
『テラビシアにかける橋』とは

まず、『テラビシアにかける橋』とは、キャサリン・パターソンの児童文学が元の作品です。
この作品は、1985年版と2007年版があるのですが、今回紹介するのは2007年版に関してです。
あらすじは、貧乏で絵が得意な男の子ジェスが転校してきた女の子のレスリーと秘密基地などを作りながら成長していく物語。
物語を作るのが上手いレスリーと絵を描くのが上手いジェスの二人が、二人だけの世界を空想で作りだして、嫌な学校とはまた違う別の世界の住人となるごっこ遊びを主軸として進んでいきます。
ネタばれなしでの感想

映画のレビューをするにあたって、一番大事なのはネタバレです。
今後見たいからネタバレは、してほしくないという人もいると思います。
そこで、まずはネタバレなしで感想や見どころを紹介していきます。
ネタバレしても問題ないという人は、ぜひ最後まで読んでくださいね。
流れが一本でわかりやすく、見やすい

テラビシアにかける橋は、とにかく流れが一本でわかりやすいです。
なので、途中であの伏線どうなったの?とか、この主人公の言ってる意味って何って思うことは、まずありません。
元が児童文学だけあって、子供にもわかりやすい作品です。
ですが、だからと言って内容が子供むけというわけではなく、
しっかりと大人も楽しめます。
むしろ個人的には、仕事で忙しくて
子供の頃の楽しさを忘れてしまった人にこそ見てほしい一作。
子供の頃の外を駆け回っていた時や、狭い学校社会でのちょっとした理不尽や、いじめっこもいる独特な空気感が味わえるのでなつかしさを感じる人は多いでしょう。
カップルで見るのにもおすすめの作品で、子供時代の話に花を咲かせることもできるので家での映画観賞用にもうってつけです。
ヒロインがかわいい

映画だけでなく漫画やシナリオにおいてキャラクターというのは、とにかく大事です。
好感を持てるか、共感できなくちゃ、なかなか物語に入っていけません。
その点でテラビシアにかける橋は、誰にでも好かれるキャラが多いです。
主人公は、ジェスという4兄弟の3番目なのですが、男はただ一人。
そして、貧乏というコンプレックスがあります。
逆にヒロインは、作家の娘ということもあり独創性に優れスポーツ万能。
少し個性的だけど笑顔がかわいく、自分の世界観を持っている女の子です。
このヒロインのレスリーが主人公を食っちゃうくらい、かわいく魅力的。
ボーイッシュながらも女の子らしさもある素晴らしいキャラクターです。
このレスリーがいるからこそ、後半のエピソードがかなり心に響くので、ある意味彼女がメインと言っても過言じゃないでしょう。
また、レスリーとジェスの関係性や相性が非常によく、小学生時代の淡い恋愛まで行かないけど、少し意識してしまう雰囲気が絶妙です。
時折出てくるジェスの妹も憎めないかわいさがあって、
癒しにつながるのもおすすめポイント。
子供の世界観がしっかりと描かれている

『テラビシアにかける橋』は、子供の頃の思い出が詰まっています。
今の現代の子は、暑すぎて夏は外で遊べないだの、そもそも外で遊ぶようなところがないという問題もあると思います。
そういう点では共感できないかもしれませんが、
今の20代から30代くらいの人は、一度は秘密基地とかを作ったり、
あこがれたことはあるのではないでしょうか?
また、妄想だけでドラゴンや妖精をいるかのように、
なりきったことはあると思います。

そういう懐かしいポイントが『テラビシアにかける橋』には、盛りだくさんです。
また、子供時代は楽しいことも多い分、理不尽な嫌がらせやいじめも受けた経験は、
少なからず誰しも体験したのではないでしょうか。
そういう学校だからこそいる、くだらないいじめっ子や怖い上級生なんかも出てくるのが『テラビシアにかける橋』のいいところ。
子供の頃に感じた狭い社会での窮屈さと遊んでいるときのなんでもできるような自由さが共存しています。
『テラビシアにかける橋』の面白いポイント

ここまでは、ネタバレなしでの『テラビシアにかける橋』のおすすめポイントを紹介してきました。
では、ここからはネタバレもありの批評をしていきましょう。
ハッピーエンドだけじゃない切なさもある

一見『テラビシアにかける橋』は、子供の社会を描いたファンタジーいっぱいの映画の様に思えるはずです。
たしかに大枠的には、ファンタージー要素も含んだ子供の成長記です。
でも、『テラビシアにかける橋』では、後半にかけて衝撃なエピソードがあります。
それがヒロインのレスリーの事故死です。
主人公のジェスが片思いをしていた音楽の先生と美術館に連れて行ってもらってる間に、秘密基地に行くための道中におぼれて死んでしまいます。
それがあまりにもあっけなく、あまりにも突然で視聴者側もショックが大きいです。
当然主人公のジェスもショックを受けて、そこからどう立ち直っていくのかというのが後半の見所です。

ただ、レスリーのキャラがあまりにもよく、前半で視聴者はレスリーのことを大好きになっている分、死んでしまった時のショックが大きいのです。
物語のラストも考えると、レスリーの死は必要なのですが、キャラクターが良い分そのシーンの感情のふり幅はかなり大きいです。
シナリオライターとしては、嫉妬するくらい上手い視聴者の突き放しで、一度物語の温度感を変えるものです。
しかし、視聴者にとっては今までのシーンとは打って変わって突然の泣けるシーンなので覚悟が必要な場面でもあります。
僕の場合、見たら100パーセント毎回泣いてます。
大人になってみるからこそ感じれるものがたくさんある

子供が主人公の映画というのは、子供の時は面白かったけど大人になったら感情移入できなくて、あまり楽しめないという作品も中にはあります。
大人になった分、あらを探してしまったり余計なところまで目についてしまったりします。
そんな中で、『テラビシアにかける橋』は、大人になってからでも楽しめます。
理由は様々ですが、なつかしさを感じられるだけでなく、教訓も含まれていること。
また、子供の時は見えていなかった主人公たちの親や先生側の大人の事情などもわかるからこその理想と現実のギャップなど。
ジェスは、父親に『いつまでも子供みたいに絵ばかり描いてないで大人になれ』と説教されるシーンがあります。
たしかに父親の言葉は、正論。
でも、時には子供の心は持っているべきだし、その子供心は時として何物にも代えがたい宝物になるんだと思います。

『テラビシアにかける橋』は、全体を通して世間体や周りの批判、差別なども吹き飛ばして自分の心の中にテラビシアという名の自分だけの楽園を作ってもいいんじゃないかという提案とも受け取れます。
コロナによって社会情勢も変わり、仕事の在り方や価値観も大きく変わっていく時代の中でこの遊び心や子供の心って大人ほど持っているべきなんじゃないでしょうか。
『テラビシアにかける橋』は、大人のためのファンタジー映画

今回は『テラビシアにかける橋』の紹介をしました。
95分と映画の中では、サクッとみられる作品なのに、
ワクワクも切なさもノスタルジーもつまった良作品です。
仕事に疲れたときほど、この作品を見て楽しかった子供時代を思い出してみてはいかがでしょうか。